ご存知の通り、現在は廃墟となり無人島である「軍艦島」。
しかし、島の全周わずか1.2km、面積0.063 km²、東京ドーム2個分もない小さな島に、かつては東京の人口の8倍以上もの人が生活していたといいます。
人口密度においては当時世界No.1。
そんな島がなぜ閉鎖になったのか?
そもそも軍艦島には何があったのか?
調査してまとめました。
軍艦島は何があった島?
海底炭鉱の島として栄えた島
軍艦島は、簡単に言うと海底炭鉱の島。
石炭を海底から掘り出すための基地として作られた島でした。
元々小島として存在していましたが、そこで良質な石炭が発見されたため、炭鉱として栄えさせるために埋め立てて拡張されました。
私たちのほとんどは、現役だった軍艦島を知らず、あのなんだか物々しい廃墟となった姿しか知りませんよね。
そして私は、「軍艦島」という名前からも、なんとなく重い雰囲気を想像していました。
しかし、軍艦島の正式名称は「端島」であり、軍艦島というのはいわゆる俗称のようなもので、見た目が旧日本海軍の軍艦「土佐」に似ていることからこう呼ばれるようになっただけ。
名前と、実際の島の内部事情はまったく絡んでいません。
軍艦島が海底炭鉱として稼働し始めたのは、明治23年(1891年)。
そこから閉鎖となる昭和49年(1974年)まで、83年の間、炭鉱の島として賑わっていました。
小さな島の中には、学校や病院はもちろんのこと、美容院や映画館、パチンコなどもあり、島の中だけですべてが完結するような島とは思えないほどの都会的で快適な暮らしができたといいます。
炭坑夫たちの労働は過酷で、常に落盤や浸水、ガス爆発の危険と隣り合わせ。
とうきょうスカイツリーほどもある地下深くまで降りてサウナのような蒸し暑い中、石炭を発掘したり、時に命がけで作業にあたっていました。
しかしながら、お給料に関してはかなり優遇されており、3種の神器と呼ばれた「テレビ」「洗濯機」「冷蔵庫」はいち早く入手でき、暮らしの面だけで見たらとても裕福だったのだそう。
軍艦島は、大切な燃料を日本各地に供給する、日本で唯一の黒字炭鉱だったのです。
当時の日本最先端の技術と都市機能を持っていました。
日本最古の鉄筋コンクリート住宅を建造
東京ドーム2個分もない小さな島の中に、世界No.1ともなる人口密度の人たちが暮らすには、建物を高くする必要がありました。
そのため、地上7階建て、10階建てにもなる、当時にしてみれば高層の住宅が何棟も建造されました。
これらは鉄筋コンクリートで建造され、日本で初めて鉄筋コンクリート住宅が建ったのも、この軍艦島だったのです。
そして、快適な暮らしができたのは、優遇面だけの話でもなかったようです。
島が小さく蜜だったことと、炭鉱を生業としている人たちの集まりだったこともあり、島民たちの繋がりが強く、まるで島全体が家族のようなあたたかさがあったといいます。
軍艦島はなぜ閉鎖になったのか?
そんな華麗なる発展を遂げてきた軍艦島にも、閉鎖の時が訪れました。
理由は、長年石炭を採掘し続けてきたことにより、産炭効率が低下していったことに加え、世の中に起こった「エネルギー革命」。
時代の流れと共にエネルギー源が石炭から石油へと変わっていったからです。
石油利用が急拡大したため、炭鉱の経営は年々悪化し、昭和49年(1974年)についに炭鉱は閉鎖され、3ヶ月間ほどかけて島民たちは島を離れ、無人島となりました。
その後、2015年に世界文化遺産に登録されましたが、老朽化も進み、土地柄、潮の被害や台風も多く、建物たちはなんとか今でも残っているものの年々崩壊が進んでいます。
これを修復するには、安全性や技術的な面、どういう姿で保存していくかなど、問題が多いようで、補修作業がまったくなされていないわけではありませんが、自然の流れに任せている部分が大きいのが実情のようです。
安全性が確保できないとのことで、一時は立ち入り禁止となり、今では解除されたものの誰もが気軽に島に立ち入ることはできません。
島に入るには、旅行会社などが行っている軍艦島上陸ツアーに参加しての上陸となり、それでも島内どこでも入れるわけではなく、入れる場所は限られています。
個人で立ち入ることはできません。
いつか、上陸できなくなる日も来るのかもしれませんね…。
まとめ
以上、軍艦島は何があった島なのか、なぜ閉鎖になったのかについてでした。
調べてみて、こんなにも小さな島の中にかつてはひとつの都市が成り立っていた、そしてそこでの生活は決して厳しいものではなかった、ということに少し驚きました。
あの廃墟の中は、かつてはきっと、すごく活気があったのでしょうね。
日本の他の町にはない、そこだけの文化があったのでしょう。
なんだかお話の世界のことのようにも感じますが、現実としてあったことなのだと思うと、なんというか、とてもロマンを感じました。